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ラノベ: 『ソードアート・オンライン プログレッシブ 005』感想

 ……二人の共同作業なのに全然そういう雰囲気じゃない……(p159)。

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 あと、ハラスメントという不穏な事項について論じている(p275〜)のに、その意味合いは真逆とか(笑)。

 とまあ、いきなり二つコメントしましたが、プログレッシブのシリーズって突き詰めるとこの二つが主軸なのかなと思います。つまり、キリトにとって、後のラフコフとの確執の始まり、そしてアスナとの関係性。
 後者に関してはあとがきで「心配」してますけど。つまり、この時点でこんなに接近しちゃって、ちゃんと後の話につながるん?という話ですが、「なんとかなるんじゃないかな?」というコメントに安心していいのか不安になるべきなのか。
 前者についてはあまり好みのテーマではないのであまり触れる気もないのですが、強いて一言コメントするならば、この巻の辺りでもうキリトと彼等の違いのようなものが見えている気がします。例えば、序盤に登場するNPC鍛冶師。キリトは結局、協力者が多いんですよね。
 あと、NPCに対する接し方という意味ではアスナにも共通しているところがあるかな。これはキリト譲りなのか感性が似ているからこうしてコンビになっているのか。

 さて、ではもう一つのテーマ、本エントリのメインテーマたるアスナとの関係性について。

 この巻で、本当にちょっとしたことですが、キリトの中で少し私の予想外のことが起きていました。
 これまでずっと、そして現時点でもそうですが、キリトはアスナが将来極めて重要な位置に立つことを予想、というか確信していて、なんとかそれまでは自身がどうなろうともアスナを守らなければいけないと決意しているようなところがあります。そして、自分が必要である間はそうしているべきというのと同時に、不要になったら身を引くべきとも思っています。そのことは既にシリーズ3巻の辺りで表れていますね。
 ところがここに、別の要素が絡んできています。彼は今回、このように考えるシーンがありました。

 俺とアスナは対等のパートナーなのだから、一方的に守ろうというのはおこがましい考えだ。しかしそれでも、できることがあるならしたい。

(p196)

 これは一体、今後どのように影響してくるのか。対等のパートナーという表現が出てきたのは画期的ではありますが、おこがましいというのは逆に、これまでの姿勢がより強く表れていると見ることもできます。
 (この頃の?)キリトは、アスナという人物の重要性を極めて高く評価していると同時に、少なくともアスナからしてみれば自身を過小評価する傾向があり、その点では何度もアスナを苛立たせている、と言って悪ければもどかしい思いをさせています。実際今回もそんなシーンがありました。モルテ達の攻撃をなんとか退けた直後に。

 でも、多分その変化はまだ些細なことで、基本的にはこれまでの関係、相手への認識が深化しているだけとも思います。ただ、あとがきにもあるようにこのプログレッシブのシリーズは本編にちゃんとつながる筈なので、やがて一時的とはいえ二人は訣別する、か少なくとも距離を置くことになります。
 その際の理由に、アスナがキリトの基準で充分に「強く」なったという以外に「おこがましい」という選択肢が増えたな、というところでしょうか。

 でもまあ、キリトのそういう些細な変化、いやもしかすると実は変化すらしていないで今まで気付かなかっただけかも知れないポイントと比べると、アスナの方はぐいぐい来てますね。距離感が縮まっているのは主にアスナの側からですし。
 キリトが「大事な話」と言ったところでの反応とか(p32)、言葉の端々に出てくる迂濶な表現とか(「二十四時間」(p87), 将来と言われて「ほんとに」(p106), 「散らかしたらだめだからね」(p145), ...)。もう将来設計ができているという感じ。ちなみにこの「二十四時間」は帯にも載っちゃってますね(笑)。
 しかし、それが客観的に表れていると思われるのが、冒頭で述べた≪ハラスメント防止コード≫の話。
 随分と物騒な話題ですが、内容はと言えばむしろ微笑ましいくらいのもの。まあ推測が合っていればですけど。
 だってその≪ハラスメント防止コード≫の発動、以前キリトが寝ているアスナを起こそうとしたときに出たのに今回は風呂の中で装備全解除状態[全裸]のアスナを押し倒しても出なかったのはなんで?なんて話をしてれば、そりゃ決まってるでしょとしか(笑)。

 さて、主要な二つのテーマをまあ片方はぞんざいにだったけど扱ったところで、細かいことをいくつか。
 プログレッシブは本編の前日譚という側面があるので(というかそのもの?)後のシーンに関連する描写がよくあるのですが、今回どういうわけか、何となく気になったので二つほどコメント。
 一つは、アスナが取っているスキル。一つだけキリトに秘密にしているのがあるんですね。まあアレのことでしょうけど(笑)。そしてもう一つ。それは、エルフの伝承。聖大樹の実にまつわるもので、子供たちに贈り物を届ける役目を与えられた聖者の物語です。
 前者は、キリトとアスナの接近のエピソードで登場するし、その後も活躍しています。後者はやはり、キリト個人のものではありますが極めて重要なエピソードの背景につながるものなので、やはり感慨深いというか何というか。

 という辺りがこの巻の感想なんですけど、最後にもう一つ、後の話につながることについて付け加えておきます。
 それは、この頃のアスナはなんか、可愛いな、ということ。
 いやまあ、キリトが「オットコ前やなー」と思ったりするシーンもありましたが、そういう意味ではなくてね。ただ、まさにその直前にアスナが「大っきらいなもの」として挙げていること。後のアスナの立場、例えば血盟騎士団の副団長になっていたりすることを考えると、そういった嫌いなことを結構やったんだろうなぁ、と。
 残念ながら、そのようなことをアスナはできてしまうのではないかなとも思いますね。過去、現実の世界でやる経験があったから嫌いになったのかも知れません。
 そして、そういう経緯が後のアスナを形成したのかな、とも思いました。

ラノベ: 『クローバーズ・リグレット2』の本筋から外れた感想というか批判

 本作の感想を一言で表現すると「面白くなかった」ですが、タイトルにあるようにこれは物語の本筋から外れた話です。


 感想の前に本エントリの本筋から外れた、つまり作品の本筋に沿った話(ややこしい(笑))をしておくと、中々面白かったです。(あれ?)
 ナユタとクレーヴェルの関係もチューニングされ、まあどっちの方向に進むのかはともかくとして安定軌道に乗った感じがあります。また、この巻は四章構成で、前半の二つにそれぞれ「骨休」「茶番劇」というのがついていますけど、実は後半の物語とちゃんとつながっていますし。
 物語としてはこの後半がメインですけど、解き明かされる謎も、「木を隠すなら森の中」的な状況でそれを探すべき人が森をばっさりと切り払える仕組みが出てきて、なるほど!という感じ。しかもちゃんとヒントもありました。

 してみると冒頭に書いた「面白くなかった」は正確ではなく、「楽しめなかった」と表現すべきかな。
 では、何故楽しめなかったのかというと……。

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ラノベ: 『ガーリー・エアフォースVIII』感想

 何だか自己言及的というか面白い位置づけの巻になっていますね。

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 先月は状況のせいで、出ていたことにすっかり気付かずにいて、一月遅れで読みました。

 シリーズの構成としては、大きな出来事の前の「溜め」って感じでしょうか。そのせいなのか、ザイが始めた攻撃の脅威は大変なものである筈なのに、それ自体はさほど目立ちませんでした。
 では一体何が起きていたかというと……。

 慧がへたれてた(笑)。

 表面的に見れば、落ち込んでへたれてた主人公がなにくそと立ち上がる、という展開になっています。ただ、そこが冒頭に述べたような形になっていると言えるように思えて。
 つまり、慧やグリペンはこれまでに何度も何度も繰り返してきたのです。それでもだめだったからの現状があるわけですけど。ですが、まさか慧があそこまでうじうじと考えてガキのようにわからないことを言う、そんなことはもしかすると今までになかったことなのでは?

 いやまあこの表現、それを表すためにちょっと彼のことを貶しすぎかなという感もありますが。
 で、もしかするとそのこと、そしてそれにより引き起こされたことが今後の展開の、多分事態の打開の鍵になってくるのではないでしょうか。というかそうでないと物語としてはちょっとね。
 またこのことは、作中、回想の中で慧の母が「失敗を悪いことだと思わないで」と言っていましたが、それともつながる気がしますし。

 というわけで、慧とグリペンにも程よく因果の糸が絡まってきた(笑)ところで、つまり『何の知識も経験もない』とは言えなくなったところで慧がそのことに気付き、ここで本当の意味で、慧と八代通がつながった、と。「一緒に探してください」と慧は八代通に言いましたが、それは、自分にも力があることに気付き、それを過大でも過小でもなく適切に評価できているということでしょう。
 このVIII巻は、本編は短かったし事態に大きな動きは……ありましたけどまだ始まりだし、そういう意味では小編ですが、転換点というのは往々にしてそういうものなのかも知れません。

 さて。
 本編が短い分、この巻には『イン・ザ・ミラー』という短編が収録されています。元は雑誌掲載のものらしい。
 なんか帯には「バイバーゼロの活躍を描く短編」とありますが、その「活躍」、とても戦闘機とは思えない(笑)。まずもって状況そのものが戦闘じゃないし。いやまあ個人間の諍いはあったわけですが。つまり、慧と明華の仲違いがあったわけですが、その中で慧はバイパーゼロと出会った、と。
 中々出会えないということでしたが、まさかあんな形態とは(笑)。プランク定数がでかいんですか?
 それにしても、「極論、映画の内容などなんでもいい」というのは非常に重要なアドバイスです。慧の話だけではなく、もっとずっとずっとずーっと広い意味で。行為(の題目)と目的とを無条件に結び付ける見方が色んなところに多くてね。

 あと、「遺伝子継承のパートナー」という表現には笑うしか(笑)。

 というわけで概ね完了ですが、最後に一言付け加えるならば、十年前の蒔絵……。

ラノベ: 『冴えない彼女の育てかた 13』感想

 けっ、なんだよリア充かよ爆発しろ。

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 というわけでお約束は守ったので感想へ……ってなんかデジャヴュが(笑)。
 ふと思ったんですけど、加藤とって立ち位置的にも特性的にもなんか似てるかも。

 実質、この前の巻のGS3でもう物語としては終わってるようなものだったので、あとはもう、どういちゃつくかってのと終章ですね。まあ実際章タイトルがそういう風になってますが。
 なので、冒頭は加藤が倫也を詩羽先輩ばりにいじくるシーン……のようでいて、いやそういう要素もあるでしょうけど、どちらかというと追い詰められた加藤の最後の悪あがきのようにも見えたりするシーン。言いたいけどそう簡単に言えないし言うわけにいかない言葉を口にするまでにどれだけのものを勝ち取るか、という感じ。
 ……損切り(笑)?

 加藤については上記のGS3の感想でも述べましたが、つまりは倫也に対しては嫌じゃなかったというのが決め手であったわけで。でもそれがラストワンマイル……というとなんか変ですが、結局はそういう部分が実は最重要というのはありがちな話で。

 英梨々や詩羽先輩についても、この巻で結論が出されています。加藤は倫也に「手が届かないって、どうして思ったの?」と言いましたが、
 倫也が元々英梨々に抱いていた感情は「同志」的なものだったように思うし、その意味では最初から、とは言えないかも知れませんがそれでも敢えて言うと、最初から二人の気持ちは性質の異るものだったように思います。今のようなものではなくとも、多分英梨々は最初から「育てばこうなる」想いを持っていたのでしょうし。
 ただ、英梨々にとって本筋ではない方向に倫也の目は向いていたし不運にも英梨々はそっちの能力を持っていた。そういうことですね。なんだかどっかの別の物語みたい。こういう意味でもデジャヴュ。
 対する詩羽先輩は、それがたとえ霞詩子ではないとしても、倫也にしてみれば手が届いてはいけない存在だったわけです、多分。しかしこちらも同様に、その能力とは別に逆に持っていない部分で、彼女にはTAKIが必要な存在だったわけで。実際詩羽先輩は、ああいう人ではありますがやはり沙由佳なのですよね。
 というような感じで結局二人とも、実はそもそもの最初から「そういう」役回りではなかった、ということのいわば確認というのがこの「エピローグ」かな。

 多分これが、加藤の問いに対する答えだと思われ。

 でもまあ、倫也が「真の『blessing software』」という構想をぶちあげてしまったので、しかも加藤(や伊織)がいるとなると恐らくそれは実現し、残念ながら英梨々や詩羽先輩はそこから逃れられないのではないかと。
 というわけで、冴えない(筈の)加藤が実はきれっきれだったとか何か帯には「冴えない彼女の恋物語」と書かれるなど一体誰が主人公なのかわからない部分もあるにはある物語ですが、これで本編が完結しました。
 でも、倫也達「真の『blessing software』」の戦いはこれからですよね!

 ところで、p36の加藤がなんかエロい。

ラノベ: 『妹さえいればいい。 〜8』感想

 けっ、なんだよリア充かよ爆発しろ。

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 というわけでお約束は守ったので感想へ(笑)。

 まずは……普通「まずは」と来たらあらすじなんでしょうけどそうではなく、やはり京についてでしょう!
 前に4巻までの感想を書いた後、6巻の辺りでああもうちょっと読んでからにすればよかったとか思うくらい京の活躍が凄かったのですが、結局それは8巻になっても続いています。例えば、蚕が漫画家としての仕事を続けられたのもただのバイト(!)の京のお陰だし。それまでずっとメディアミックス展開を渋っていた那由多がその気になり出したのは京が輝いてるからだし。そして、これは結果オーライ的な危険な展開ですが、それで本気になった那由多がぶっ倒れたお陰で那由多と伊月との関係が進展したわけだし。
 8巻でも、神戸(ごうど)編集長は京を「幸運をもたらす天使」とか言ってますし(笑)。

 ところで、当初「なにやってんだろーあたし」要員(笑)としての着目もしていたわけですが、京が時に呟くその言葉の意味が徐々に変化してきています。特に8巻ではそれが明確で、神戸が「天使」とまで表現した実績も本人にとってはただ状況に流されただけのことで、しかも周囲には京から見れば年下なのにどんどん仕事をして輝いている女の子がいるし。
 まあ要するに、自分が成果を挙げようと思ってしたこと以外で得られた成果って自分のものとは中々思えないもので、ここまでこれだけ関係各所に良い意味での影響を与えておきながら、また違う次元から見るとこれだけ物語をドライブしておきながら、京自身としては実感がないのもまあ仕方のないことかも。

 本作では京に限らず大概の人物がそういう葛藤を抱えているものですが、ここへ来て、全く無自覚ながら彼等の世界を根底から引っくり返しそうな危険人物が動き始めました。
 それは、伊月の弟……ということになっている千尋です。

 兄に対して性別を偽っていることは父親も知っているようで、というか父親が妹狂いの兄から守るためにそうさせたみたいですけど、その父娘の会話の中で千尋がさらっと言っちゃったわけですね。伊月に彼女ができたことを。
 それで、もう本当のことを打ち明けてもいいんじゃないかという流れになり、そのタイミングは千尋に任されることにもなったのですが……。

 これは私事になりますが、例えば小○生くらいがヒロインになっているエロ漫画なんかも嗜まないわけではないけどでは実在の○学生とか見てどうかというと全くどうも思わないわけで。まあ造形的に美しいかどうかというのはありますけど。そういうのって、人によりけりですよね。
 では、伊月の妹狂いは一体どちらなのか。千尋が真実を打ち明けるなどしてそれが伊月の知るところとなった時、彼にとっての「妹」像はどうなるのか。

 例えば、実在と非実在は別だな、となったとして。
 一見それは何の波風も立たない展開のようにも思えますが、本当にそうか。つまり、自分の妹狂いは一体何なのか、以前彼自身も挑戦していましたがどこまでが妹か、そういったことを「考える」ようになってしまった時、それは今までのように「狂い」であり続けられるのか。
 即ちこれは、彼の作家としてのアイデンティティにも関わる部分に亀裂が生じる恐れもあるということです。
 全く以てどうでもいいことですが、以前どっかで読んだ話で、ゴルフなんかで一緒に回っている相手の調子を崩したければその相手のフォームの長所を具体的に指摘して誉めると良いとかありましたっけ。現実か創作かも忘れましたが。

 そして、実在も非実在もやはり妹はいい!となった場合。
 那由多との関係はどうなるのか、そこが崩れてしまった場合那由多の作家としてのコンディションやそもそも続ける理由すらどうかということになってしまい、これはこれで社会が黙っていません。つまり、那由多の作品のファンもいればそれに業績を左右される出版社もあるわけで。

 多分いずれの場合でも、読み切れてない問題がもっとあるでしょう。つまり、千尋本人は単にそれで家族関係が安定するくらいにしか思っていないそのことに、大変な波紋というか大波を発生させる力があるわけです。
 加えて、多分千尋自身が気付いていない自分自身のこともあるでしょうし。
 まあそんな風に思ったわけですが、あと千尋といえば、だいぶ主要キャラの仲間としての存在感が増してきていますね。それはつまり、表面的な特徴や特性だけでなくその内面も表出しつつあるということで。例えば、ロボット掃除機に対して片鱗を見せたその暗黒面(笑)とかね(7巻p111辺り)。

 他にも、新人賞関連で登場した人物にもクセのある人が多くて(というかそういう人ばかりで(笑))面白いのですが、特に恐るべし!なのは木曽義弘(67歳新人)でしょう。

「萌えとは、心がぴょんぴょんするものと見つけたり。……いかがでしょうか、土岐さん」

(8巻p57)

 この人、「退職し、暇に飽かせて書いた小説を、たまたま締め切りが一番近かった公募に送った」(6巻p212)そうですが。……うーん、ちょっとこれで思い出した本があるんですよねぇ(笑)。
 まあでも結局は木曽の場合、本格的な時代小説を書けるほどの能力と姿勢があったから萌えでもこの境地に至ることができたということなんでしょうね。

 とまあそんな感じで現時点の最新刊まで辿り着いちゃったわけですが、さて今後はどんな感じになるのかな。伊月と那由多の関係が早くも進展しちゃったし。
 千尋の件は勿論ですが、旅行先で那由多の執筆の時の姿を見て全裸じゃなくそっちを気にするか、という伊月、素人なのに何故か物語を引っ張ってきた京、その他と言っては申し訳ないけどやっぱり言っちゃうその他の人物(笑)。
 彼等の持つ、物語の根底に据えられた「ずれ」をどのように料理するのか、そこがやはり注目ポイントですね。

ラノベ: 『妹さえいればいい。 〜4』感想

【悲報】京さんはやっぱりビッチだった

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 うそです(AA略

 ……すいません、昨日ちょっとリフレッシュしてきたせいか何かノリがおかしいですね(笑)。調整調整。

 というわけで、先日の1巻感想の後、4巻まで読み終わりましたのでその時点での感想。あと一部5巻の途中までの話も含みます。
 という辺りで未だに謎なのが、伊月の妹萌えというかキ○ガイの理由。そうなった経緯はある程度出てきていますがそういう意味ではなく、この作品の主人公が妹に固執していなければならない物語上の必然性というのがね。まあその辺りは追々ってところでしょうか。

 さて。
 ここまで読んで一番思ったのが京さんの件です。そもそも上記の1巻感想でも京をちょっと意識しているんですが……ってあまり出てこないですけど、最早今の私は、京ファンと言っても過言ではないのではないかと。

 まず、京の位置づけ。
 極めてクセの強い人物(あの千尋でさえそう)ばかりが並ぶ中、ほぼ唯一の一般人です。いつも、強烈な個性の光を放つ人々に捲き込まれる押しの弱さがあります。しかし、その「押さば引け」的な弱さは押してくる人々を全て絡め捕ってしまう。
 伊月だけは京自身が「押す」側ですが、例えばアニメ2話で描かれたように、那由多はすぐに引き込まれてしまいました。その後も、他の小説家のフラグを立てるし、漫画家のポリシーを曲げる……時に助力、そして5巻では編集部にまで影響力を及ぼし始めるようです。
 まったくもう、あちこちと関係を持ちまくってからに。これだからビッチは(笑)。

 いやつまり京は、各キャラの隙間を満たす、背景であったり地であったり場であったり、そんなある意味で強烈な存在感を見せています。

 そんな立ち位置にいるためか、この物語はかなりの部分が、京の存在により動いている、京がドライブしているようにさえ思えてきます。彼女がいなかったら動き始めない、そんな世界に見えてくるのです。それは、京が「場」として他のキャラ同士を結び付け、干渉させ、自身はその媒介役を担っている、というような構図です。

 そんな京が、彼等に興味を持ってしまっているわけで。

 なにも持っていない自分が、何十万人の読者を差し置いて那由多の作品の役に立てる——そのことに京は自虐的な恍惚感を覚える。

(2巻p114)

 全裸になってあちこち観察されただけだが、自分がこの作品に関わったことが誇らしくさえある。
(略)
 それはけっこう……かなり……素敵なことなのかもしれない。

(4巻p202)

 逆に言えば彼等もその影響から逃れられないわけで。

 とかいうようなことをつらつらと思いながら読んでいると、なんだか私自身もいつの間にか京という存在に絡め捕られて来てるような気がします。
 そんな京は、5巻で伊月に対して攻勢に出るようですが……まあ結果はわかっているにしても、京がそのように動いた以上は伊月もその影響からは逃れられないでしょう。果たして?

 とまあそんな感じで妙に偏った読み方をしてしまっているわけですが(笑)、まだ既刊の半分くらいですね。
 さて、どんな展開があることやら。

ラノベ: 『妹さえいればいい。』/『ゲーマーズ! DLC』感想

 あれ? 『妹さえ』の方、ナンバリングがないですね。まさかこの内容で一冊で終わる可能性もあったと……?
 いやまあよくある話か。

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 というわけで、先日書いたようにアニメ見て即座に気に入ってまずは一巻を読んでみました。ちなみに、アニメのどの辺りに惹かれたかというと、一話のラスト、伊月が那由多のデビュー作『銀色景色』を読むシーンです。エンディング主題歌『どんな星空よりも、どんな思い出よりも(ピアノバージョン)』を背景に。
 最後のあの一言は原作にもありますが、伊月のキャラとか読んでいるうちに色々と見えてきた辺りで、彼は京にこんなことも言っています。

「……お前が将来作家を目指す予定がないなら読んどけ。あれを読まないのは人生を損してる。俺の本なんて読んでる暇があったら、可児那由多の作品を読め……」

(p113)

 春斗辺りが言うのならともかく、伊月がですからね。しかもこれを言われた京にしてみれば、彼との出会いがあれだったわけで。
 まあ彼はぷりけつについても似たようなことを言ってたようですが。内容がじゃなくその作家としての姿勢が。
 でもその那由多は、その作品の他メディアへの展開を望まれてたりしても、「伊月先輩と会える時間が減るじゃないですか」とか言って拒否ってるわけですが(笑)。

 この物語、そういうところが基盤になってる感じです。春斗の伊月に対する色々にしても。京だって、作家としての才能という土俵でではないものの、そういうものと無関係ではいれらないようだし。

 あとその京の、「なにやってんだろーあたし」要員としてのご活躍も見逃せない(笑)。4巻くらいまでは口絵で勇姿が見られますね。

ゲーマーズ! DLC (ファンタジア文庫)
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 ちょw「あと四ヶ月」てwww
 出だしがあのアニメ第12話みたくアグリさんが爆弾を投下しまくる話だったので、しかもサブタイトルにDLCとあるのでそういう話かと思いきやほんとに外伝でした。
 しかし思うに、同好会の面子はもう大体それぞれの想いが(一部を除き)通じている関係からか序盤みたいな錯綜があまり発生しなくなっているような。今回、景太を全く知らなかった人が登場して「新キャラの美人さん達とフラグ立てたり」したために、そういう意味での風味が戻ってきた感があります。
 さすが「安いラブコメの主人公属性持ち」景太(笑)。

 ところで、ラストの辺りで天道さんがこれまでとちょっと違う登場の仕方をするわけですが。
 ああ、これが元々の(壊れる前の(笑))姿なのかな、などとちょっと感慨深いものが。さすが外伝というべきか、本編ではちょっと見られないですよね、あの「抜き身の刀がそのまま置いてあるみたいな」天道さんなんて。
 でも、所々に出てくる「景太の交際相手」って天道さん……ですよね?
 もしや「踏み込む」のって、次の外伝でってこと?

ラノベ: 『なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門』感想

 だいぶ長く続いたこのシリーズも、ついに本編完結ですね。ちょっと感無量です。いや私が書いたわけじゃないですけど。

なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門 (電撃文庫)
夏海 公司
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 最終巻らしく、前の巻から続く提案の件は実に血湧き肉躍るというか手に汗握るというか、とんでもない展開の末に見事な結末を迎えました。
 また、シリーズ全体を締める意味での結末も続きます。

 ネタバレがデフォルトと宣言している当ブログですが、こういう場合にたまにやっているように、一応この続きはトップには表示されないようにしておきます。

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ラノベ: 最近読んだラノベ - 2017.7

 このところあまり感想書いてないですけど、実は読んではいるんですよねそこそこ。

天使の3P!×10 (電撃文庫)
蒼山 サグ
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 最近この手の本って、帯がとても重要な役割を担っているような(笑)。

 響とリヤン・ド・ファミユは着実に歩んでいて、ついには他のバンドとのジャムセッションをやったりするまでに成長しています。うーん、まったく最高だね!(彼がそう言った理由に即した意味で)
 音楽についても、このシリーズでは毎回なんかためになるっぽいネタが出てきます。っぽいってのは、知ったからと言って音楽やってるわけでもない私としては、ということですけど、でもなんかそれでもためになったような気がするのは、やはりヒトというのはそういう種だということか(笑)?

 今回は、即興みたいなのも結局はまず引き出しありきだよね、みたいな見ようによっては身も蓋もない話ですが、でも逆にどんなことでもそういうもんかも、という気がしてきます。また、そういう話題であるために、DTMの系統にある響も一緒にお勉強という感があり、一体感が増しているようにも見えてきます。
 そしてクライマックスシーンでは、リヤンのメンバーの感性が光り、それが問題解決の鍵となるって辺りが中々に熱い展開です。前作もそうでしたが、このシリーズも登場人物の割に熱血ストーリーですよね(笑)。

 ただ、ちょっと気になったのがエピローグ。
 アニメが始まった時期に出版された一冊が、こんな終り方しちゃって大丈夫?とちょっと心配になったり。

 あとこれはもう恒例と言える話ですが、あんなに素晴らしい人物であるくるみの兄への愛が、ますます暴走してるのが(笑)。
 まあ、ちょっと今回はストレスもあったのかな?

ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック (ファンタジア文庫)
葵 せきな
KADOKAWA (2017-07-20)
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 こちらは上記の『天使の3P!』とは逆に前の巻のラストが大変だったのですが、その事情やら何やらは(予想はされてたとは言え)概ね明らかになり、でもそれですっきりと解決しないのが本作。なんだよ≪背後にそっと這い寄られる月間≫って(笑)。
 ただ、巻を重ねたことで各人物の気持ちがだいぶ定まってきていたり、それが伝わってきていたりで、当初のようなシューティングゲームで敵の弾をすり抜けるみたいな際どいすれ違い(笑)はあまりなくなってきた感じかな。代りに増えてきているのが、人の意図による展開とか。
 具体的に言っちゃうと、コノハさんこと心春さん。
 個人的な趣味の話ですが、コノハさんいいですね。趣味(笑)といい、性格といい(いやいいのか?)、知恵が回るところといい(悪知恵かも)。

機巧少女は傷つかない16上 Facing
海冬 レイジ
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機巧少女は傷つかない16下 Facing
海冬 レイジ
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 今回完結したこの物語、読み始めたのはアニメが始まってからですが、そこからでももうかれこれ4年近くになりますか。

 天全の行動原理についてはある程度予想していた通りのところがあって、それは計画通りに進んだと思うのですが、そのことが神性機巧の誕生時期に合わせるように遂行されていたのは人類にとって幸だったのか不幸だったのか。

 先日書いたようにこのところ自然科学、それも物理系のネタに頭が親和的になってたり、またこの間量子通信の実証実験の話とかあったためか、雷真が神性機巧に立ち向かう(必ずしも対抗/敵対を意味しない)際の計画がそっち方面の話に似ているように感じてしまって。
 どういうことかというと、魔術原理の話。例えば、硝子のこの言葉から始まる『見立て』の魔術に関する説明。

「単純な類似を超え、同一と呼べるほどの存在になったなら、それは本当に同じもの——という発想よ。(略)

上巻 p223

 なんだか、雷真が最後に神性機巧に対した時の作戦って、もつれた(エンタングルされた)量子の片方を確定させることによる伝達(?)、所謂量子テレポーテーションで夜々になった、みたいな(笑)。
 また、これはどこかにあったように思うんですがちょっと思い出せないのが、何なのかわからないならわかるものにしてしまえばいいみたいな考え方もなんかそんな世界の話みたい。
 で結局、そんなこんなで雷真は夜々をちゃっかり取り戻してるわけですね。

 考えてみるとこの話、賢者と愚者とか、王の正しさとか、そういう概念の「遊び」みたいなネタが沢山あって、私としてはそういうところが特に面白かったかな。
 あと、夜々のボケの面白さが意外と大きかったように思います。「雷々」とか(笑)。飛び出してくるタイミングがいいのかな。
 下巻の表紙イラストですが、考えてみるとこの作品、タイトルの「機巧少女」を「マシンドール」と読ませているところからして答えが書いてあったわけですね。
 ただ、撫子のキャラが今一定まってなかったようにも思いますが、多分あれは本当に定まってなかった、言い換えれば定まってないように定まってたということかも。

 長いシリーズがついに完結したわけで、それもだいぶいい感じの終わり方なので、少しほっとしたような寂しいような?
 上記のように読み始めたのはアニメ開始からですが、お疲れ様でしたという感じ。

ラノベ: 『冴えない彼女の育てかた Girls Side 3』感想

 加藤は倫也の嫁。

冴えない彼女の育てかた Girls Side3 (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
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 語呂は悪いけど、それを女子会で定める瞬間までの話でした。
 あと、ちょっと予想外だったのが、美智留の意外な活躍。前半は真面目に作曲とかしてるし、後半は詩羽先輩の傀儡(笑)?

 で流れとしては、巡璃を探るというゲーム制作にかこつけて、往生際の悪い加藤を女子みんなで寄ってたかって、
うぜぇんだよさっさとくっつけやこのヤロー!
と叩きまくる話(笑)。いやヤローじゃないですけど。あとみんなと言っても英梨々だけは、まだね。
 ある意味もうみんな諦めているとも言えますが、もうその先のことを考えているのだからさっさとしろという思いもありそうです。

 さて、重要な台詞を二つ挙げておきましょうか。
 一つは伊織によるもの。伊織が出海に伝えた言葉です。

『いいかい出海? 今日は一晩中、彼女から目を離すな』
『表情とか、喋り方とか、態度とか、全部盗むんだ』
『間違いなく、それが倫也君が思い描いた巡璃だからね』

 彼女とは勿論、加藤のことです。
 そもそもこの物語の出発点から、加藤は倫也のメインヒロインでした。ただ、それって一体何なのよ?ってのはね、わかっていつつもあったわけですよ。
 それがここに来て、まあある意味明文化されましたね。
 加藤は、倫也の理想の女の子である、と。

 もう一つは、女子軍団による苛烈な追求の末、加藤がついに口にした本音からです。
 巡璃が主人公をどう想っているか……というのは最早言い換えに過ぎず、加藤が倫也についてどのように感じているか。

「迷惑でも、変でも、空気読んでなくても……
 なんとなく、嫌じゃなければそれでいいやって。
 そういう、フィーリングみたいなものだけで、いいやって」

 …………「嫌じゃなければ」?
 それって所謂、アレですよね。
 円満な夫婦の条件(笑)?
 プラスがあることよりも、マイナスがないことが長期的な安定をもたらすわけですね。あばたをえくぼにするものがなくとも、そもそもあばたが気にならない、みたいな。勿論加藤だって「嫌なもの」はあるでしょうが、倫也はそれを持っていないというだけで。多分、伊織なんかは沢山持ってるでしょう(笑)。
 それにしても、秘訣とか以前にまずそこですか。道理で、初っ端から正妻感出ててたわけだわ。正妻戦争以前から正妻(の地位)の行方は決していたわけで。
 しかも、もう心を定めてからは早速、主導権を握り尻に敷くことを画策しているし(笑)。

 こうして、倫也と加藤の二人の意識が、片方は他者によるものですが明確にされたことになりますか。

 というわけでこの巻のラストは12巻のラストと重なったわけですが、次は本編そのもののラストとなる13巻ということのようですね。果たしてこの二人、加藤が優位のまま決着するのか、倫也が一矢報いるのか?
 まあ、あまり予想できるような展開にはならないだろうとは思いますけど。
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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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